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NEW BRAND From LONDON,【HARRY MUNDY】

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先日のパリ発のハンティングブランド”ARTUMÈS & Co “に続き、この度も今シーズンより新たに展開スタートとなる、ロンドンを拠点に活動を始めたばかりのブランドをご紹介致します。ARTUMÈS & Coと同じくクラシックやその国ならではの伝統が背景にある点は同じながら、また異なるスタイルを持つHARRY MUNDY。ビスポークテーラーならではの新しい提案が皆さまにできればと思います。

【HARRY MUNDY】

創業者であるハリー・マンディはサヴィル・ロウのチトルバラ&モーガンのマスター・カッターであるジョー・モーガンのもとで 4 年間修行を積み、その後ヴィヴィアン・ウエストウッドにてメンズウェアデザインマネージャーを務め、2023年自身の名を冠したビスポークテーラーとして HARRY MUNDY をスタート。
デザインの焦点は時代を超越したタイムレスなスタイルを提供することである。それらのプロダクツは、英国内にある世界有数の紡績工場や小規模でインディペンデントなミルやマーチャントから独占的に調達する美しいテキスタイルを使用し、数十年の経験を持つロンドンの小さなアトリエにて手作りされている。

ブランドを紹介する上で欠かす事のできない点が、HARRY MUNDY氏のその多彩な経歴。歴史あるテーラーやヴィヴィアン・ウエストウッドでの経歴といった様々な要素こそ、HARRY MUNDYを構成するそのものなのです。
まずは氏のサヴィル・ロウでのキャリアについて。氏が従事していたチトルバラ&モーガンのマスター・カッターであるジョー・モーガンは、1970年代を駆け抜けた伝説のテーラーと謳われるナッターズ・オブ・サヴィル・ロウへ、アシスタント・カッターとして入社します。デザイナーのトミー・ナッターとカッターのエドワード・セクストン率いる「ナッターズ・オブ・サヴィル・ロウ」は、ナッターのカリスマ的なデザイン力、そして、カッターのセクストンの卓越した技術は、グラマラスな70年代にサヴィル・ロウ発の新たなメンズファッションの潮流を創りあげました。ザ・ビートルズのラスト・アルバム『アビー・ロード』のカバーに登場するジョージ・ハリスンを除いたジョン・レノンなど3人のスーツ、さらにミック・ジャガーのウェディング・スーツなど、70年代を彩ったスーツの数々はここナッターズ・オブ・サヴィル・ロウから生まれています。
トミー・ナッターとカッターのエドワード・セクストンの2人がナッターズを去った後、現在もなおジョー・モーガン氏はロイ・チトルバラ氏と共にナッターズの正統な後継者として、サヴィル・ロウ12番地にてチトルバラ&モーガンを構えています。

 

English tailor Tommy Nutter (1943 – 1992) on London’s mecca of fine tailoring, Savile Row, 1st February 1973. He is wearing an outfit of his own design. (Photo by Central Press/Hulton Archive/Getty Images)

 

極端なワイドラペル、幅広く男性的なショルダーライン、対照的にぎりぎりまで絞り込んだハイウエスト、1920年代の「オックスフォード・バグス」に由来する幅の広いフレア・トラウザーズを身に纏ったナッター。ビートルズのあのアルバムのジャケット写真同様に、メンズ服飾史の本等でトミー・ナッターを見かけたことがある人も多いのでは。


話が少し脱線しましたが、続いて本題のラインナップについて。

LUDLOW JACKET / ¥385,000 – (Included Tax)
Col : BLACK/WHITE HERRINGBONE
Size : 50

 

まずはデザイナーの祖父が着用していたランチコートをベースに作られたLUDLOW JACKETから。所謂カバーオールやワークジャケットのようなシンプルなデザインですが、着丈の長さやボディ全体に対してのポケットのサイズバランス、徹底された柄合わせ、さらにはそのポケットにチェンジポケットまで配してあります。そして見た目の違和感以上に驚かされるのがその構築的な作り込み。着用した時の肩周りの立体感は完全にジャケットのそれであり、実際に袖を通す前と後では全く違った印象を受けるのではないでしょうか。構築的なショルダーラインや着丈を残しつつ仕上げた、ビスポークテーラーならではの新しい提案です。

そしてテーラリングのエレガンスとスポーティなデザインの親しみやすさ、その二つの気持ちの良いギャップをさらに引き立てているのが、MAGEE社製のヘリンボーン生地。ツイードといえば産地毎に様々な種類があり、スコットランドのハリスツイードやシェットランド諸島のシェットランドツイードがありますが、こちらはアイルランド(ドネガル州)を産地とするドネガルツイードを使用しています。1800年代から続く歴史あるMAGEE OF DONEGAL社は、自然の色合いをそのまま織り出したと言われる発色や耐久性と色柄豊富さで高く評価され、世界中で愛されるドネガルツイードを数多く作り出しています。
通常ドネガルツイードといえば、カラフルなネップを含んだ表情豊かな風合いが一般的ですが、この度は色数を抑えたヘリンボーンでオーダー。


ZIPPER WAISTCOAT WITH BINDING / ¥242,000 – (Included Tax)
Col : NAVY HERRINGBONE
Size : 40 , 42

 

続いてはホースライディングベストをデザインベースとした1着。LUDLOW JACKETと同じく、ルーツや生地使いはクラシックながら、前立て部分にはジップを採用することで単なるクラシックでは終わらせない、HARRY MUNDY氏のデザイナーとしての側面も垣間見えるアイテムとなっています。また、バインディングとして施されているのは高価なグログランテープというこだわり様。

こちらのベストでも同じくMAGEE社製のドネガルツイードを採用しております。ジャケットの方と比べるとよりウェイトのある生地を選んでいる為、バルキーなニットやジャケット等の上に重ねていただくのもおすすめです。カマが大きく取られているあたりからもアウターベストとしてのレイヤードが想定されているのではないでしょうか。

1969年2月14日、”ナッターズ・オブ・サヴィル・ロウ”の誕生は、サヴィル・ロウにおける120年ぶりの新たなテーラーの出現となり、60年代を代表する細身のスーツに対して完全なる決別を告げるエポックメイキングとなりました。また、先述したようなグラマラスなスーツスタイルを輩出しただけでなく、サヴィル・ロウから最先端の流行が初めて発信されたのもこの瞬間であり、さらに画期的であったのはそれらのスーツがサヴィル・ロウの最高の技術を用いてつくられたビスポークだったということ。
あくまでご紹介した洋服は全て既成服となりますが、HARRY MUNDYもかのナッターズ同様、サヴィル・ロウの確固たる技術やヴィヴィアンで培った経験からなる新しいビスポークスタイルを生み出してくれるテーラーとなってくれることを信じてやみません。

well-made by MAIDENS SHOP 山田

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2024/10/05

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